SPEカラム選定時の注意事項

1.適切なカラム容積のSPEカラムの選択

カラムあるいはウェルプレート使用時の試料量、特に洗浄溶媒量に見合ったカラム容積のSPEカラムあるいはウェルプレートをお選びください。

2.適切な充填剤ベッド重量のSPEカラムの選択

試料量に基づき、ベッド重量を定めますが、試料中の夾雑成分がどの位含まれているかも考慮に入れることが必要です。順相および逆相の場合、典型的には、ベッド重量の1~5%が試料重量となります(保持が強い試料の場合で、100mg/gが限界です)。
一例を挙げると、500mgのベッド重量の場合、試料量は最大25mg以下にする必要があります。試料が保持されにくい場合には、サンプルロードの際に破過が生じ、試料は保持されずに流れてしまいます。
イオン交換の場合は、分析対象であるイオン性試料の価数も保持に影響します。
イオン交換樹脂の保持能力は、イオン交換容量(meq/g)の単位で表しますが、0.072~0.320meq/gの範囲となります。

3.その他の秘訣

  1. コンディショニング時あるいはサンプルロードの前に充填剤が乾かないようにしなければなりません。
    カラムを溶媒でウェットな状態に維持する為には、先に使用した溶媒が乾く前に、直ちに次のステップの溶媒でSPEカラムを処理することが重要です。
  2. 良好な回収率を確保するには、溶出に先立ち、SPEカラムがドライの状態に維持されていることが重要です。カラムがドライか否かを確認するには、真空に引いた際、カラムカートリッジに指で触れ、冷たく感じるようであれば、水分が含まれますので、その場合には、カラムを乾燥させ水分を取り除く必要があります。
  3. 塩基性溶液の調製に水酸化アンモニウムを使用する場合は、常にフレッシュなものを使用してください。
    水酸化アンモニウム溶液は、大気中で変化し易く(二酸化炭素の吸収)、回収率の変動を起こし易いので注意が必要です。
    Verify-CXなどのミックスモードの充填剤を用いて、 pKa の大きい塩基性医薬品(アンフェタミン、3環系化合物、モルヒネ)を固相抽出する際に
    良好な回収率を達成するには、溶離液のpHを11-12に維持することが極めて重要です。
  4. ベストな固相抽出を行う為には、カラムのコンディショニングが必須です。
  5. イオン性試料の場合は、中性かイオン解離状態か、どちらか一方の状態にしなければ、カラムに効果的に保持されず、回収率が一定になりません。
    これを避けるには、溶液pHを常に確認することが重要です。保持を最大にするには、イオン交換樹脂カラムの場合は試料を解離状態に、逆相カラムの場合はイオン化を制御して中性状態に維持することが重要です。